CB900Fレーサー号 ENG SPEC その2

先日のCB900Fレーサー号ENG SPECの続きです。
  
・シリンダーヘッド
ベースは1100より燃焼室容積が小さいCB900Fです。後述のようにバルブを追い込んだことと、燃焼室の形状を弄りたかったこと、面研は最小限にしたかったことから選択しました。随分前に買い揃えていたストックから使っていますけど、最近は良いベースが流通してませんね。大事に使わなくては。

 
燃焼室とポート形状は、CFDを駆使して形状を決めました。CFDとはComputational Fluid Dynamicsのことで、流体解析です。シリンダーヘッドを3Dモデル化し、コンピュータ解析によって最適形状を決め…られたらカッコいいですね。はい、ウソです。全部イマジネーション(早い話がヤマ勘)で決めました。一応、付着したカーボンから色々と推測してみたりはしましたけど。でも冗談抜きで、CFDはそのうちやってみたいです。
バルブリフターは、STDのアウターシムタイプから、トヨタヴィッツなどに使われているシムとリフターが一体になっているモノに交換しています。STDの重量は35.7g、ヴィッツのモノは23.7g。その差12g。これはデカい(ハズ)。諸々一緒に組み込んでしまったので、コレ単体の効果は測りかねるのですが、シムが飛ばないだけでも安心です。トレードオフとしてバルブクリアランス調整は面倒ですが…これは一般的なインナーシムでも同じですからね。ちなみに、STDのシム1枚よりも、ヴィッツのリフター1個の方が安いです。ビバ大量生産。

  
ただコレ、外径などはバッチリ合うんですが、厚みが0.7mmほど足りません。対応として、バルブシートを加工して、バルブを追い込みました。自分でシートカットしたので大変でした…。

なんで16個もバルブがありやがるんだ。いやまて、CBXの24バルブに比べればマシだと言い聞かせながらやりました。寸法を確認しながらやりたかったので自分で加工したんですが、次は内燃機屋さんに頼もうと思います。たいむいずまねー。

バルブを追いこんだのには、もう一つ理由があります。バルブの燃焼室への飛び出しを減らしたかったんです。STDは燃焼室の面よりもバルブが飛び出し気味なので、なるべく面一にしたかったんですね。今のレーサーとか綺麗に面一ですから。
まぁバルブ自体はノーマルなので、ツライチにはなっていませんけどね…。

  
ポートも一通り削ってますけど、形状はほとんど変えていません。全体的に鋳肌を落としたことと、バルブシートと鋳造面の段差解消と、ポートから燃焼室への角度をなるべく立てられるように、ちょっと削ったくらい。STDの形が良くないので、肉盛りでもしない限りはあまり手を付けられないというのが、正直なところです。(だからこそCFDを回してみたい…)

  
そうそう、シリンダーヘッドガスケットは、ジェイズのメタルガスケットを使っています。当たり前ですけど、不具合もなく、締めた感じもいい塩梅です。ついでにカムチェーンもジェイズの強化品をずっと使っていますが、こちらも問題なしです。
    
・シリンダー
CB1100Fのモノをボーリング加工して使っています。加工時期の違いか、ピストンクリアランスが少々大きかったので、スリーブ内面にはパルホスM処理をしてみました。これによりピストンクリアランスは1/100ほど詰まり、3~4/100になりました。(加工を依頼したのは夏・測定し直したのは春先だったので、その気温差がクリアランス差になった可能性が高いです)
もちろんフリクションダウンにもなるので、結果オーライかな、と思っています。耐久性は開けてからのお楽しみです。(いつ?)
リアランスについては、鋳造ピストンなので街乗りならあと5~10/1000は詰めたいところですが、レーサーなのでこれでヨシとしました。

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ピストンの方にはスカートにモリブデン溶射をしてあります。この相性についてはデータを持っていないので、こちらも開けてからのお楽しみです。

    
クラッチ
ドリームクラフトのスリッパークラッチを入れています。
フィーリングに不安もありましたが、意外や意外。あまり違和感は有りません。ガンガンに効かせる走り方をしていないせいかもしれませんけど。ただ、これを入れると押し掛けは出来なくなります。スカッと爽やかに滑ります。このために外部エンジンスターターを作りました。
フリクションディスクとプレートですが、STDでも問題は無く、スプリング(後述)のみ変更していました。ジャダーディスクも使っていました。スプリングさえ交換すれば、STDは問題ないと思います。
が、テストとして、昨年から仕様を変えています。
STDはフリクションディスク8枚、プレート6枚、ジャダーディスク1枚ですが、現在はフリクションディスク9枚、プレート8枚、ジャダーディスク廃止、としています。STDのプレート類だと厚みが合わないので、板厚違いの純正品を流用して寸法を合わせています。ディスクの枚数が増えたので、スプリングのレートは落としても大丈夫かもしれません。そのうちテストします。(今も重いワケではないのですが)。ジャダーディスクの廃止は少々心配でしたが、レースユースであれば、レーシングスタート含めて問題なし。ただ、ピットから出ていくときなど、ゆっくりスタートするときにはクラッチジャダーが出ますね。ジャダーディスクって働いているんだなぁ。
クラッチスプリングは、元々は1100Rを使っていましたが、長年の使用でヘタッてきたので、これまた某純正品を流用しています。1100Rと操作荷重は同等、セット荷重は100Rの1割増し、となかなかいい感じのモノです。こちらはお問い合わせ頂ければ、部品番号はお知らせ出来ます。
カバーはスリッパーと同じくドリームクラフトのものを使用して油圧化しています。これはクラッチレバー位置の安定化が目的です。決して乾式風の外観に惹かれたわけではありません。ええそうですとも。

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ノーマルのワイヤー式の場合、走行中に熱によってレバー位置が変化するのがイヤでした。特に自分は、シフトダウンのときにスロットルは煽らず、左手の半クラでトルクを逃がす走りをするので、レバー位置が変化しないことは極めて重要だったんです。ダイレクト感はワイヤー式ですけど、自分にとってはそれ以上の効果が、油圧式にはあります。カッコだけじゃないんです(←認めた)。

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まだ書き足りないので、続きはまた後日~。